あらゆる用途に利用できる音楽素材サイトにするためには、幅広いタイプの楽曲を用意(生成)できるような仕組みが必要です。
楽曲のパターンをいかに増やすか?について、その具体的な方法の一案を以下に記しました。
- 要素の掛け算:拍子、テンポ、コード(コード進行)、リズム、音高、音長、楽器
- これらのパターンを掛け合わせると無数のパターンになる
- 傾向を制御する確率パラメタを上手く用意し分ける必要がある
- そうでないと、全く同じではなくても「似ている曲」が量産されるだけになる
- 例えば…
- 拍子チェンジを全くしない曲
- テンポチェンジを全くしない曲
- 主旋律しかない曲/主旋律が無い曲
- 「チェンジ」には大きく2つある
- 1小節~数小節内の一時的なチェンジ
- 拍子なら「変拍子」、キーなら「一時転調」と呼ばれるもの
- セクション(概ね8小節, 16小節~など)単位のチェンジ
- 例えばAメロ→Bメロ→サビと遷移していく中で、その境目で拍子、テンポ、キーなどが全く新しくなること
- とにかくたくさんチェンジすれば新しいタイプの楽曲になるか?といえばそうではない
- まず、ただのフレーズ/セクションの断片を寄せ集めた感じになってしまい、一つの楽曲にならない
- ある程度、同じフレーズ/セクションを繰り返す必要がある
- その「繰り返し方法」にパターンはあるはず
- 多いのはいわゆる「ABAC」で、例えば8小節なら、2小節×4の並びと考え、
- 1~2小節目、5~6小節目を「A」として同じフレーズを繰り返す
- 3~4小節は「B」、7~8小節は「C」とし、それぞれ異なるフレーズとする
- これによって、「適度に繰り返し、かつ適度に変化を付ける」ことで、
- メロディのまとまりや分かりやすさ(単純さ)と、退屈せずに続きを聴きたくなる性質(複雑さ)を両立させる構成にすることができる
- ただ、一言で「同じフレーズを繰り返す」といっても、完全に同じである必要は必ずしもなく、
- 例えば数音だけ音高が異なるとか、リズムの並びが微妙にずらされているとか、アレンジを加えつつ同じフレーズを繰り返すことも可能で、
- そういった「繰り返し時のアレンジ」も上手く作り分けることで、パターンは広がっていく
- これはメロディだけではなく、例えばコード進行、テンポ(の揺らし方)、変拍子、強弱表現、
- といった各種要素について言える(どれを取っても時間軸上に存在する要素である以上、このような"時間遷移に伴う(繰り返し)パターン"は同じように膨らんでいく)
- こういった微妙な制御ができれば「多くのパターンを量産する」ことはできると思う
- その制御をするためのプログラムの改善が必要と思っている
- また、「前提」の設定を作り分けることも。
- 例えば、これまで書いてきたのは「曲の途中でどう要素を変形していくか」という話だったが、テンポや楽器、拍子などは「曲の途中で全く変形せず、同じ要素をずっと維持する曲」も多い(その方がむしろ多数派)。
- いろんなパターンを作りたいからといって、とにかく曲の途中で要素をたくさん変形すればいいわけでは無い
- それは結局「曲の中で変化の多い曲」という、似た傾向の曲となりやすい
- 故に、いろんな曲を作るには、「曲の中でいかに要素を変化させるか」だけではなく、「曲の中でいかに要素を変化させないか」という観点も必要